元パティシエが作る、タルト・ペッシュ(桃のタルト)の作り方

実は私、元パティシエです。

13年前、上京して製菓専門学校に2年通った私。

卒業後は個人店に就職し、あまりの長時間労働、重労働、安月給の為、精神的に病んでしまい1年で退職。

専門学校のお気楽、和気あいあいとした雰囲気と違い、現場は過酷な労働環境。

『ケーキ屋さんになる!』と意気込んで東京に出て来たのに、初めて挫折を味わった瞬間でした。

ケーキと違って、現実はそんなに甘くないんですよね(笑)

その時はケーキを見るのも、バターの匂いすら吐き気を覚える、そんな精神状態でした。

その後は丸の内のダイニングバーで働きつつ、掛け持ちでカフェのバイトをしていました。

しばらく菓子屋から離れて、気分転換というか、心を整理する期間をもうけたつもりです。

これからの方向性を模索する日々。

しかし、どうしても諦めきれない製菓業界。

頭の片隅にはいつもどこかモヤモヤがありました。

そして最終的には戻ってしまいました…ハイ(笑)

私にとってパティシエは切っても切れない、天職だったのではないかと思ってしまったのです。

私から菓子作りを取ったら何も残らないんじゃないかと感じるほどに。

“戻る“と言っても、腕を磨くにはやはり個人店に勤めるのが一番なのですが、なかなか勇気が出ませんでした。

なので、全国チェーンのフルーツタルト専門店や、新宿の一流ホテル、関東の各地に店舗を持つ出荷元のアトリエ(工場)での勤務など、しばらく色々なところで働かせてもらいました。

そして訳あって、地元静岡に帰ってなんと母と店を出したのです。←展開早くてビックリですよね。

しかし、売り上げもなかなか伸びず、そのうち妊娠が発覚!

立ち仕事の重労働で、クリスマス前は深夜2時まで働くこともあり、母に店を任せ辞めてしまったのです。←こちらも展開早っ!

今はカフェ・ギャラリーとして、母が一人で店を切り盛りしております。

ざっとですが、ここまでの経緯をお話しさせて頂きました。

そして本題!

旬のフルーツを使った美味しいタルト作り

そんな子育て中&マタニティの私も、家庭で出来る範囲のお菓子作りはやっていました。

仕事とは違って、趣味で作るのって本当に楽しい♪

そして、有難い事に今でもバースデーケーキの注文を頂きます。

今回は、旬のフルーツの桃とシャインマスカットを贅沢に使ったタルトを作ったのでご紹介しますね♪
(その時旬のフルーツやご自身の好きなフルーツに変えて作っていただいて構いません。)

是非皆さんの参考になればと思います。

旬のフルーツを使った美味しいタルト作り

タルト・ペッシュの材料

パート・ブリゼ(タルト台) 15cm
  • 強力粉 50g
  • 薄力粉 50g
  • 塩 1g
  • 無塩バター 43g
  • 全卵 20g
  • 冷水 13g
  • ホワイトチョコ(タルト台に塗る)
クレーム ・パティシエール

(カスタードクリーム)

  • 牛乳 100ml
  • グラニュー糖 17g
  • 卵黄 12g
  • 全卵 10g
  • 薄力粉 4g
  • コンスターチ 4g
  • バター 4g
  • バニラビーンズ 1/20本(バニラオイルでも可)
クレームシャンティ

(ホイップクリーム)
※出来上がったカスタードの20%だけ使います。

  • 生クリーム(乳脂肪40%〜47%のもの) 200g
  • グラニュー糖 16
ジェノワーズ(スポンジ) 15cm

※4枚スライスにして1枚だけ使います。

  • 全卵 120g(卵L 2個)
  • グラニュー糖 60g
  • 薄力粉 48g
  • コーンスターチ 12g
  • 牛乳14g
  • 無塩バター7g
  • バニラオイル 3滴程
キルシュシロップ
  • 水 50g
  • グラニュー糖 25g
  • キルシュワッサー(チェリー酒) 5g
ナパージュ(艶出しゼリー)
  • 市販の桃のゼリー
  • モナン グレナデンシロップ
上にのせるフルーツ
  • シャインマスカット
  • 冷凍グロゼイユ(赤すぐり)
必要な道具
  • フードプロセッサー
  • ハンドミキサー
  • 麺棒
  • まな板
  • タルト型15cm
  • デコ型 15cm
  • ハケ
  • ゴムベラ
  • 漉し器(ふるいでも可)
  • ホイッパー
  • 計り
  • 重石(小豆でも可)
  • フォーク
  • オーブンペーパー
  • ボウル
  • 粉ふるい
  • 鉄板
  • 焼き網

タルト・ペッシュの作り方

パート・ブリゼ(タルト台)

1. フードプロセッサーに強力粉、薄力粉、塩を入れて1時間冷蔵庫で冷やす。

2. 冷えた無塩バターを1.5cm角にカットして、1に入れフードプロセッサーを回す。

バターをそぼろ状にする

バターを溶かさないように、5秒ずつくらい少しずつ回し、バターをそぼろ状にする。
(練り過ぎ注意!グルテンが出て生地がパサパサになったり固くなったりします。)

粉が黄色っぽい色になったらOK

3. 粉が黄色っぽい色になったらOK。ボウルに移し、ドーナツ状に真ん中をあける。

冷えた卵と冷水をよく合わせ、2の真ん中に入れる。

冷えた卵と冷水をあわせる

4. ゴムベラで切るように混ぜ、練らないようにサックリ合わせる。

ゴムベラで切るように混ぜる

5. 作業は出来るだけ手早く行い、涼しい部屋で行なってください。

ある程度まとまったら、手で素早くひとまとまりにする。

手で素早くひとまとまりにする

手で素早くひとまとまりにする

6. 平たくした生地をジップロックなどに包んで、乾燥しないように密封して冷蔵庫で一晩休ませる。

6. 平たくした生地をジップロックなどに包む

7. タルト型に薄くバターを塗ります。(写真は21cmのタルト型です)

タルト型に薄くバターをぬる

8. 休ませた生地を軽く捏ねて柔らかくし、まな板の上に打ち粉(強力粉)をして麺棒で丸くのばしていきます。

麺棒で丸くのばす

麺棒で丸くのばす

麺棒で丸くのばす

9. 型の2周り(2.5mm厚程)大きく伸ばします。(写真は21cm型です)

型の2周り大きく伸ばす

10. 麺棒に生地を巻いて、型の上にかぶせます。

生地を型の上にかぶせる

11. 底の空気を抜くように、角に生地敷き込み、側面も指の腹を使って生地を敷き込みます。

生地を敷き込む

12. 余った生地を外側に開いて、麺棒を型に沿って転がし余分な生地をカットします。

余分な生地をカット

13. 型の側面の凹みを指の腹で押さえて生地を敷き込みます。

指の腹で押さえる

指の腹で押さえて生地を敷き込む

14. 底にフォークで空気を逃す穴を開けます。

底にフォークで穴をあける

15. 乾燥しないようにラップでぴったりと包み、冷蔵庫で1時間程休ませます。寝かせることで、焼き縮みを防止になります。

ラップで包み寝かせる

16. オーブンを200℃に予熱して、オーブンペーパーと重石をのせて、12分焼成します。

重石をのせて12分焼成

17. 重石を外して、15分程こんがり焼けるまで焼成してください。
(焼成時間はオーブンやタルトの大きさによって変わりますので様子を見ながら焼いてください。)

18. しっかり底の方も色がつくまで焼いてください。

焼けたら、型に入れたまま焼き網の上で粗熱をとります。
(焼き立ては崩れやすいので)

型に入れたまま焼き網の上で粗熱をとる

19. 粗熱が取れたら型から外し、完全に冷めるまで待ちます。

完全に冷めるまで待つ

20. 溶かしたホワイトチョコを、冷ましたタルト台に塗ります。

チョコは出来ればテンパリングすると口溶けも良くなります。

また、テンパリング不要のコーティング用ホワイトチョコでも良いです。

20. 溶かしたホワイトチョコを冷ましたタルト台に塗る

タルト台の出来上がり♡

ジェノワーズ(スポンジ 15cm)

※写真がなくて申し訳ないです(汗)

1. 15cmのデコ型にオーブンペーパーを敷いておく。オーブンは170℃に予熱。

2. 全卵とグラニュー糖、バニラオイルをボウルに入れ、ハンドミキサーでよく攪拌させて湯煎につけながら泡立てていく。
(たまに指を入れて、人肌くらいまで温める。)

3. 人肌になったら湯煎からはずし、生地がもったりするまで高速で回す。
(湯煎が空くので、バターと牛乳をボウルにいれた物を温めておく。)

4. 生地でのの字を書いて3秒で消えるくらいの固さになったら、中速に落として回し、大きな泡を消す。

5. 大きな泡がなくなったら、低速で1分程回し、キメを整える。

6. 2回ふるっておいた粉類を入れ、泡を潰さないようにゴムベラで切るように混ぜる。粉がなくなり、艶が出るまで混ぜる。

7. 湯煎であらかじめ溶かしておいたバター・牛乳(50℃くらい)に、ひとすくいの生地を加えよく混ぜ、生地の入ったボウルに入れて合わせる。
(こうすると、混ざりにくい油分も短時間で混ざり、泡を潰さずに済む。)

8. バターを加えてからは、手早く型に流す。10cm程上から型ごと落としショックを与える。
(余分な空気が抜けます。)

9. 170℃に予熱していたオーブンで22分程焼成する。

オーブンの出し入れは素早く、庫内の温度を下げないようにするのがポイント。
(オーブンによっても、ジェノワーズの大きさによっても焼成時間は変わるので、臨機応変に焼いてください。上がこんがり焼け、少し押すと弾力がある感じが理想。竹串を中心に刺して、何も付いて来なければOK。)

10. 型ごと10cm上から落とし、ショックを与え空気を抜きます。型ごとひっくり返し、網の上に逆さにして型からはずし、完全に冷まします。
オーブンペーパーは乾燥防止の為そのまま付けておいてください。

11. スポンジが冷めたら、オーブンペーパーをはずし、4枚スライスにします(7mm厚程)。
焼きっつらは食感が悪くなるので削いでください。

スポンジの完成♡

クレーム・パティシエール(カスタードクリーム)

1. 小鍋に牛乳、グラニュー糖半分、バニラビーンズを加え弱火にかけます。バニラビーンズは鞘からこそぎ取って中身を使いますが、鞘も香り出しにそのまま入れます。(バニラオイルでも可)

湯気が上るくらい(80℃くらい)まで温め、沸騰はさせない。

2. 全卵・卵黄・残りのグラニュー糖をホイッパーでよく擦り混ぜます。
白っぽくなるくらいまで。

3. 2.にふるった粉類を加え、粉気がなくなるまで混ぜます。
(混ぜすぎるとグルテンが出てしまい、粘り気の強いカスタードになってしまいます。)

4. 3.に1.の半量を加え混ぜ、それを1.の鍋に戻します。

5. 中火で手早くかき混ぜながら、艶が出てくるまで炊きます。
(量にもよりますが、フツフツ湧いて1分くらい。)

6. 手早く漉し器で漉しながら、ボウルに移します。

7. 必ず落としラップ(空気を抜いてぴったりとラップを密着させる)して、氷水で冷まします。

8. 冷めたら、冷蔵庫で2時間程休ませる。

9. その間、クレーム・シャンティ(ホイップクリーム)を作ります。生クリームにグラニュー糖、バニラエッセンスを加えて泡だてます。
(7.8分立てくらい)

10. 休ませたカスタードクリームの量を計り、よくほぐして滑らかにします。

11. カスタードクリームの量の20%の量の9.を入れ、合わせます。

カスタードクリーム+ホイップクリームを合わせたディプロマットクリームの出来上がり♡

ディプロマットクリーム

キルシュシロップ

1. 水とグラニュー糖を小鍋で沸かします。

2. 火から下ろしたらすぐにキルシュを加え、そのまま冷まします。
(アルコールが飛び、風味だけが残ります。)

ナパージュ(艶出しゼリー)

1. 市販の桃ゼリーのゼリーの部分だけ耐熱容器に入れ、グレナデンシロップ(もしくは食紅)を少し加えレンジで温めます。
(桃を鮮やかなピンクに見せるために今回はグレナデンシロップや食紅を使いますが、違うフルーツを使う場合は入れなくて大丈夫です。)

2. 溶かしたゼリーをトロミがつくまで氷水で冷やし、フルーツに塗って使います。冷やしながら時々かき混ぜないと固まってしまうので注意。

仕上げ

1. タルト台にディプロマットクリームを2/3の量入れ、少し中心が山になるようにならします。

タルト台にディプロマットクリームを入れる

タルト台にディプロマットクリームを入れてならす

2. スライスしたスポンジを1枚のせ、キルシュシロップを打ちます。

スライスしたスポンジを1枚のせる

キルシュシロップをうつ

3. 残りのディプロマットクリームをのせ、スポンジの上に塗り広げます。

残りのディプロマットクリームをのせる

この上にさらに、余ったホイップクリームを塗ってもOK!

4. お好きなフルーツを飾ります。
今回は旬の桃とシャインマスカットを贅沢にのせました。

お好きなフルーツをのせる

桃は湯むきするとつるんと剥けます。

桃の皮の湯剥き
色が変わりやすいので、レモン汁と砂糖を合わせた汁にカットした桃を潜らせると良いです。

私は、「果鮮」という変色防止剤を使いました。

「果鮮」という変色防止剤

5. ナパージュ(艶出しゼリー)をしっかりと塗ります。

変色防止や、フルーツが落ちないようにする為にも厚めに塗ります。

5. ナパージュ(艶出しゼリー)をしっかりと塗る

完成です♡

最後に

お菓子作りって、考案→道具を揃えて→材料揃えて→作業→片付けまで気が遠くなるほど大仕事ですよね。

でも苦労して作ったお菓子ほど、より美味しく愛おしく感じます。

タルトは特に手間も時間もかかるケーキの一つですが、旬のフルーツを味わうには最高のケーキだと確信しております!

皆さんも重い腰を上げて(笑)、大切な記念日には是非手作りケーキに挑戦してみてはいかがでしょうか!?

1 Comment

元パン工場のひと

おいしそうですね。
牛乳パックの船をハンドメイド
これをみて、ここにきました。
タルト台、その他、手が込んでますね。

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